いつか農業をかっこいいといわれる仕事に!

柴田洋平さん
前住所 岩国市川下町
(取材年月日/2018(平成30)年11月8日)


▼ 不便のない生活
柴田さんは岩国市尾津町出身。結婚後も、同じ市内に住んでいました。
そこは生活に便利な町。不便さを感じたことは一度もありませんでした。
10年前、両親が岩国市周東町へ移住。それがきっかけで、周東町へ子供を連れて遊びに行く機会が多くなりました。
そこでは、子供と土遊びをしたり、草を摘んでみたり…遊び道具は自然のもの。
当時住んでいた家の近くには公園がなく、そんな遊びはしたことがなかったのだとか。その頃から「田舎に住むのもいいな」と思い始めました。

▼ なぜ農家に?
7年前、周東町に気に入った土地が見つかり、家族で移住することになりました。
当時、建築士として岩国市内の工務店に勤務していた柴田さん。周東町から職場まで、毎日車で通勤していました。
そのうち、仕事の休みの日には、近所で農業の手伝いをするようになり、「農業も楽しいかも」と興味を持つようになります。
しかし、柴田さんには「農業は大変で儲からない」というイメージがあり、さすがに転職までは考えていませんでした。
ところが、地元のイチゴ農家との出会いが、柴田さんの農業のイメージを変えることになりました。
その人は「農家は大変なことはいっぱいあるけど、仕事のストレスは無いよ」と話してくれました。
聞けば、子供を大学まで進学させ、家族を養っているといいます。
「そうか!農家なら、家の近くで仕事ができる。子供を学校へ送り出して、帰りを家で待つこともできる。
さらに家族を養えて、仕事のストレスがないなんて…最高じゃないか!」。
自分のことを、熱しやすく冷めやすいという柴田さん。
「とりあえずやってみたい!」と、すぐに家族を説得し、午前中はイチゴ農家で研修、午後は工務店の仕事と2足のわらじを履くことになりました。
そんな生活を2年間続け、32歳の時、工務店を退職。イチゴ農家となったのです。
ぜひ、夫婦が育てるイチゴを味わいに出かけてみてください。そして、移住して農業をすることの苦楽をたずねてみてはいかがでしょう。

▼ 田舎で見つけたやりがい
イチゴを安定して出荷できるようになった頃、「このイチゴを自分たちで加工して、お客さんに提供できたら」と思うようになりました。
その思いはだんだん強くなり、2017年8月、自宅近くの周東町祖生に念願のお店をオープン。
朝摘みの真っ赤な完熟イチゴが、こぼれそうなくらいのったパフェが食べられる。
そんなうわさは、SNSであっという間に広がり、気が付けば行列ができるお店になりました。
一粒、一粒を大切に育てたイチゴ。それを食べたお客さんの反応を目の前で見ることができる。
それは、これまでの仕事では味わったことのない「やりがい」なんだとか。

▼ これからの目標
お店の目の前に広がる田園風景。しかし、この辺りは農家がどんどん減っています。高齢化し、跡を継ぐ人がいないのです。
その理由の一つには、柴田さんもかつて思っていたように「農業は大変で儲からない」というイメージが影響しています。
これから、お店を発信源として、その農業のイメージを変えたいという柴田さん。
そしていつの日か「農家ってかっこいいね」と、子供たちに言われるようになるのを目標にしています。

ネット環境が整っている今、夢を叶える場所は関係ないのかもしれません。
田舎だから叶う「やりがいのある仕事」や「家族との時間」があることを教えてもらいました。

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