美和の自然と先輩たちに学ぶ

地元の皆さんと一緒に(真ん中が仲居さん夫婦)

仲居隆一さん・加奈子さん
前住所 茨城県水戸市
(取材年月日/2022(令和4)年2月28日)


▼ 子どもが巣立って
隆一さんと加奈子さんは茨城県水戸市で出会い、結婚して子育てをしてきました。
3年前に、隆一さんは仕事の都合で単身広島に引っ越すことに。茨城にマイホームがあったこともあり、加奈子さんとお子さんは茨城で生活を続けていました。
ところが、子育てが終わりを迎えると、加奈子さんの気持ちに変化が生まれました。「なんだかフッと抜けた感じがして……」。
そして「新しいことに一からチャレンジしてみようかな?」と考えるようになったそうです。


▼ 萩の農家に生まれて
加奈子さんは萩市の出身。実家は農家でした。
「田舎で畑仕事をしてみるのもいいかな?」と思い、隆一さんのいる広島あたりの物件を探し始めました。
「広島だと予算がなかなか合わなくて、岩国市で探すようになりました」。
そして出会った美和町の物件。見晴らしがよく、家が密集していない環境が気に入って、2021年3月に移住。
「ここの景観、素晴らしいでしょ!」と、つい自慢してしまうくらい気に入っています。

▼ お天道様と共にある暮らし
引っ越してきてしばらくは、時計のない生活をしていたという仲居さんご夫妻。今でもお客さまが来た時用の時計が1個だけ。
「お天道様と一緒に生活しています。時間に追われるとせかせかしてしまうでしょ」と加奈子さん。
「若いときにはそんな考えは持てなかったけど、子育てが終わった今だからそういう考えが持てるようになったのかもしれない」と話します。


▼ 美和町の人は温かい
移住からもうすぐ1年。加奈子さんは、地元の人の助けを借りながら畑仕事をする毎日。最近は、自分で育てて収穫した野菜を朝市で販売もしています。
引っ越した当初は家がボロボロで、自分たちで床を張り替えたり色を塗ったりしましたが、そのときにも地元の人が手伝ってくれたと言います。
「親よりは若いけど兄弟にしては歳が離れている」くらいの世代に囲まれての生活は、思いのほか心地良いようです。
「今すごく満ち足りています。地元の方におんぶに抱っこですから、ラクですよ。美和の人たちは温かいんです。ここでは見栄の張り合いはないし、みんな他人対他人ではなくて人対人で接してくれます。
昔は『わからない』って言うのは恥ずかしいと思っていましたが、今はわからないことは何でも地元の方に聞きます」。

▼ 大自然に囲まれて
以前の加奈子さんには今のような大らかさはなく、ガチガチの子育てをしていたのだとか。「丸くなりました」と隆一さんは微笑みます。
「広島にいる友人と子どもがしょっちゅう遊びに来るんですけど、友人には『子どもにダメダメばかり言わない。お母さんものんびりしなさい。』なんて言ってるんですよ。自然に囲まれているからか、ここでは本来の自分に戻れるし、心も歪みません」。


▼ 先人・先輩たちの営みを次世代へ

虫が苦手でギャーギャー言いながらも畑仕事を楽しんでいる加奈子さん。
畑仕事は一通りできるようになり、次なる目標は、田んぼでお米を作ることと、イノシシを自分で捕れるように狩猟免許を取ること。
「美和の人たちがやってきたことを、次の世代へ繋いでいきたいです。
草ぼうぼうになった田んぼや畑を、自分たちの手で少しでも活かしていけたらと思っています」。
1年後、2年後、3年後…… 美和町でたくましく生きる仲居さんご夫妻の姿が目に浮かびます。

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